こんにちは、パーマです!
今回のおすすめ漫画は、菅野文さんの「北走新選組」です!
菅野文さんといえば、乙男(オトメン)でも有名な、新選組愛あふれる漫画家さん!
菅野文さんは、この北走新選組から、凍鉄の花、誠のくに、と新選組三部作を作られるほど。
そして、「義」を追い求めて描かれている方ですね!
こんな方におすすめ
- 新選組の最後を知りたい方
- 土方歳三ファン
- 北海道旅行を計画している方
- 新選組ファンでステップアップされたい方
新選組ファンでも、ちょっと抜けがちな北海道編!
ここを押さえておけば、新選組ファンとしても、歴史好きとしてもステップアップできるかと!

北海道編は、「星のとりで」もおすすめです。
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目次
北海道での土方歳三を描く!「星のとりで」が面白い!
碧也ぴんくさんの「星のとりで」をご紹介!北海道に渡ってからの土方歳三や新選組隊士のことを描く作品って、京都に比べてやっぱり少ない。そんな函館戦争を中心に、新選組と土方の最後を、豊富な参考文献をもとに描く意欲作です!
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菅野文作「北走新選組」基本情報
作:菅野文
出版:花とゆめコミックス
既刊:1巻(完)
「北走新選組」ってどんな漫画?
異なる隊士を主人公とした3つの物語を繋いだ作品
北走新選組は、3つの短編を紡いで1つの作品になっています。
それぞれ主人公は、野村利三郎・相馬主計・土方歳三の3人。
北海道に渡るころには、新選組の隊士も亡くなったり散り散りになったりで、かなり様変わりしています。
その中で、野村利三郎と相馬主計はドラマがある隊士として知っておきたい!
特に、相馬主計は新選組最後の隊長ですからね・・・。
彼らの追い求めたものは何か、3つの物語に共通するテーマは「義」と「武士」。
それを鮮やかに描きます。
碧に還る:野村利三郎
「本当の武士になりたい。でも、どうしたら良いのかわからない。」と悩む野村利三郎。
自暴自棄になり遊女に溺れた挙句に金を持ち逃げされ、「士道不覚悟」として店の前で切腹をしようとします。
そこを「ここは武士の死に場所ではない。」と土方に止められます。
「その命、俺に預けよ。」と。
鳥羽伏見の戦いが起こり、最新式の銃の前に、旧式の装備であった幕府軍は破れます。
これからは洋式の軍隊となるべきと前を向く土方に対して、「これから、どうすればよいのか」と問う野村。
「ただ武士であるだけだ」と答える土方に真の武士の姿を見た野村は、土方に心酔します。
新選組は敗走を続けながら、蝦夷(北海道)に侍の国を作ろうとする旧幕府軍とともに北海道へ渡ります。
このあたりから、土方の雰囲気が変わってきます。
組織のために己を律していた京都時代から、もとの優しく激しい男へと。
それを感じた野村は、「この人であれば俺を本当の武士にしてくれるという感覚は正しかった!」と土方に惚れ直します。
新選組に命をかける。土方に対する義に殉じると心に決めます。
義に殉じるとは、生涯、自らの信念に生きること。
そして、函館戦争最大の分岐点である、戦艦回天へのアボルダージュ・・・!
そこで野村は・・・。
散る緋:相馬主計
相馬主計は、新選組最後の隊長です。
土方から、「俺が死んだあとは、お前に新選組を任せる」と託された男。
激しい函館戦争の中で、相馬主計は弁天台場を守り続け、官軍を寄せ付けませんでした。
しかし函館が陥落し、弁天台場へ救援に向かった土方は銃弾を受けて戦死します。
相馬は土方の言葉を受け継ぎ、新選組隊長として官軍の降伏勧告に従って降伏を受け入れます。
敗軍の将が受ける責任の重さを分かりながらも、仲間を生かすために。
そして、罪人として流刑となった相馬は、そこで出会ったおマツと夫婦となります。
数年後に許され東京に移り住んだ相馬は、新選組隊長として明治に生きる元新選組隊士を訪ね歩きます。
元隊士たちは、侍であった過去を捨てられず夢を見続けるもの・当時の行いに恐れおののくもの・戊辰戦争で死ねなかったことを悔やみ続けるものなど様々。
そこに共通しているのは、「新選組の存在の大きさ」でした。
武士が生きられない世となった明治。
武士そのものであった新選組。
新選組最後の隊長として、その新選組を終わらせるために、相馬がとった行動とは・・・。
誰よりも武士であり、武士であろうとした男の物語です。
殉白:土方歳三
「何のために生きるのか」
近藤と別れ、各地を転戦しながら北海道へとたどり着いた土方の心には、その思いが強くなっていました。
その中で、死ぬために戦うような戦い方を続けます。
「近藤勇のために、近藤勇を立派な対象にするために、そのためにずっと生きてきた」土方は、何のために生きるのかを見失っていました。
そこに近藤が処刑された情報がもたらされます。
「死に遅れたのか・・・」と感じる土方。
「義に殉じるのが武士であろうが、なぜ義のために生きようとしないのか」と土方に問う大鳥圭介。
近藤勇を無くし、戦うための義も生きるための義も無くなってしまったという土方に、「君だけの義があるはず」と問いかけます。
そして明治2年5月。
新政府軍の函館総攻撃が始まります。
相馬主計率いる新選組隊士の大半は弁天台場で戦っていましたが、函館が落ち、孤立し全滅する恐れが発生します。
弁天台場を助けるのか、函館を奪還するのか。
その選択を迫られたとき、土方は「何のために生きるのか、自分にとっての義とは何か」を見出します。
そして、最後に土方は・・・。
土方が最後に見つけたものは何だったのか、その心を追った物語です。
おすすめポイント
教科書にはない!それぞれが追い求めた義に納得!
最後まで新政府軍と戦った人たちは、どのような思いをもって戦っていたのか。
「滅びの美学」と一言で言われる新選組と土方歳三の最後ですが、彼らにも戦う理由があったはずです。
それは想像するしかないのですが、それを納得する形で描いている作品です。
菅野文さんの新選組愛を感じる!
「この漫画家さん、本当に新選組が好きなんだ」と嬉しくなります。
というか、好きでないと書けない内容!3本とも。
明治維新は必要だったと思いますが、そこで失われたものもあります。
それは、今の時代にも必要なことかもしれません。
それを理解し、キレイな絵で見事に描き切っている作品です!
まとめ:北海道で散ったそれぞれの新選組の姿に涙
戊辰戦争の終結は、単純に明治という新しい時代が始まっただけではありません。
武士の時代が終わった時です。
その意味で、日本史において大きなターニングポイントだと思いますし、それに対して教科書とかでの記述が少なすぎる!
だからこそ、漫画や小説、史料で知ってほしいと常々思っています。
「北走新選組」は、その入り口としてもぴったり!
1巻完結ですので、ぜひお手元において欲しい作品です!